選ぶことの難しさ
- 川端 マリコ
- 3月2日
- 読了時間: 2分
ちいさき師
光るひとつを
手に取るや
目輝かせ その姿学ぶ
一点ものの作品、展示数だけの選択肢があります。
展示では常に120~150種類できるよう準備していて、とても悩まれているようすを拝見しながら、すこし嬉しくも思っています。
出展をはじめて間もない頃、小学生のお客様から学んだことを、その後の展示に生かしています。
よくよく考えながら、ひとつひとつ手に取り15分ほどかけて選びぬいたのは、ちいさくつやっとした漆塗りの作品でした。目の前のものを純真な心で見て、あらゆる感覚を使い選ぶこと。大人になると選んでからのいろいろを考えてしまいがちですが、そもそもスプーンは属人具(自分だけが使うもの)。自分が良いと思えばそれでいいんです。
材料は間伐された不揃いなもの、その丸太を手で割り、型紙を使わずに樹の印象でかたちを描いてゆく手法です。同じ樹種にしても個体差や、部位によって木理も削り具合も違います。樹のゆらぎ、流れ。そしてわたしの手の感覚も日々変化しています。
気に入ったものはきっと大切にしてもらえるはずで、そのためには使いよい作品を作ることが最も大切。ただ、使いよさの正解は人それぞれなので、制作を続けてゆくかぎり向き合ってゆく課題です。
今後もたくさんの選択肢のなかから選ぶ難しさ、感覚の答え合わせの喜びを感じていただける制作・展示を続けてゆきたいと思います。